脳と発達
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症例報告
PRRT2遺伝子異常があり乳幼児期に多彩なてんかん発作を認めた1女児例
松下 浩子岡野 創造石井 敦士廣瀬 伸一
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2016 年 48 巻 5 号 p. 351-354

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抄録

 良性家族性乳児てんかんや発作性運動誘発性ジスキネジアの責任遺伝子としてproline-rich transmembrane protein 2 (PRRT2) が同定されている. 我々は, 父親と同じPRRT2遺伝子変異をもつが, 良性家族性乳児てんかんとは異なる経過をたどった症例を経験した. 本症例は, 2カ月時に強直けいれんが群発し, 複数の抗けいれん剤にて発作は消失した. 9カ月時には焦点性発作が群発し, 少量のcarbamazepineで発作は消失した, さらに, 2歳時から体幹を動揺する発作が出現し, 知的障害を合併した. 父親は乳児期に無熱性けいれんの既往があるが正常に発達した. 本症例ではPRRT2遺伝子変異が特定の発達期間にのみ影響を与えていた可能性に加え, 他の遺伝的素因が非典型的発作症状に関与した可能性が考えられた.

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© 2016 一般社団法人日本小児神経学会
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