脳と発達
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症例報告
治療戦略の変更によりADLを改善し得たCDKL5異常症による難治性てんかんの女児例
四家 達彦高橋 幸利木村 暢佑今井 克美山本 俊至高橋 孝雄
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2017 年 49 巻 1 号 p. 28-31

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抄録

 症候性点頭てんかん患者の一部にcyclin dependent kinase like 5遺伝子 (CDKL5) 変異が原因で発症する例がある. CDKL5遺伝子変異を示す患者は, 部分てんかんの要素や, Rett症候群患者でしばしば認められる手もみ運動に似たしぐさを示すことが知られており, CDKL5異常症と総称されている. 今回我々は, 多剤併用療法が行われていたCDKL5異常症を示す女児において, valproate単剤療法に移行させることにより, てんかん発作を一時的に寛解させ, 日常生活活動の改善も得ることができた. CDKL5異常症患者においては, 自然経過でてんかん発作が改善することもあり, 本症例の経過が自然経過であった可能性はあるが, いずれにしても多剤併用療法から脱したことで生活の質が改善し, 患者家族の満足も得られた. 難治なてんかん性脳症患者の長期経過観察においては, 常に最適な薬物の組み合わせを念頭に検討することが重要であると考える.

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© 2017 一般社団法人日本小児神経学会
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