日本調理科学会大会研究発表要旨集
2024年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 1B-1
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鶏卵オボムコイドに対するウズラ卵オボムコイドの交差抗原性の解析
*富岡 敏彦内藤 宙大和泉 秀彦
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抄録

【目的】鶏卵とウズラ卵の交差抗原性を詳細に解析した研究はほとんどないが、鶏卵アレルギー患者はウズラ卵も食事から除去されている。そこで本研究では、鶏卵の主要アレルゲンであるオボムコイド(OM)に着目し、鶏卵OMとウズラ卵OMの交差抗原性を明らかにすることを目的とした。

【方法】市販の鶏卵及びウズラ卵からOMを分離精製した。交差抗原性は、イムノブロット、阻害ELISA及び動物実験にて解析した。イムノブロットには、抗鶏卵OM ウサギIgG抗体を使用した。阻害ELISAには、固相抗原として鶏卵OM、一次抗体として鶏卵アレルギー患者血清中IgE抗体(n=7)を使用し、阻害抗原に鶏卵OM及びウズラ卵OMを用いた。動物実験には、鶏卵OMで感作させたBALB/cマウスを用いた。IgE抗体価の上昇を確認後、生鶏卵白、生ウズラ卵白、ゆでウズラ卵白(沸騰水中3分半)を経口投与し、直腸温及びアレルギースコアを評価した。

【結果・考察】イムノブロットの結果、ウズラ卵OMはほとんど検出されなかった。阻害ELISAの結果、鶏卵OMの阻害率は阻害抗原濃度1 µg/mLで89.5±8.5%であったが、ウズラ卵OMでは26.1±12.0%と有意に低い値を示した(p < 0.01)。動物実験の結果、生鶏卵白群で経口投与30分後の直腸温の低下(-1.6℃)及びアレルギースコアの上昇がみられた。しかし、生及びゆでウズラ卵白群では、経口投与30分後の直腸温(-0.1及び-0.2℃)及びアレルギースコアは変化しなかった。以上の結果から、鶏卵OMとウズラ卵OMの交差抗原性は低く、鶏卵OM感作においてウズラ卵OMのアレルゲン性は低いことが明らかとなった。

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