脳と発達
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<基調講演>
周産期医療と生命倫理から学ぶ 「連続と不連続の思想」
仁志田 博司
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2018 年 50 巻 2 号 p. 104-108

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抄録

 母体血による胎児トリソミーの出生前診断 (NIPT) が2014年から臨床研究として導入され, 1年間で陽性判定を受けた142人の16名が偽陽性であったことから, この導入で1割余のトリソミーでない命が失われ得る. ダウン症を短絡的に障害児と判断するのは誤りで, 大学で学ぶレベルまでの広い臨床スペクトラムを有するので個別に評価されるべきである. さらにTurnerなどの選別に広がる 「滑りやすい坂道」 に踏み込む可能性が高く, 適切な倫理的議論を積み重ねないと優生思想による命の選別となる危険を孕んでいる. 以上に関し生命倫理的考察を加えた.

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© 2018 一般社団法人日本小児神経学会
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