脳と発達
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重症心身障害者施設における抗菌薬サイクリング療法の有効性の検討
岡﨑 咲栄松藤 博紀中村 圭李石川 尚子伊住 浩史市山 高志杉尾 嘉嗣
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2018 年 50 巻 6 号 p. 441-442

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抄録

 重症心身障害児 (者) は呼吸器感染症を発症することが多く, 抗菌薬の使用頻度が高くなる. 従って薬剤耐性菌の増加がしばしば問題となる. 当センターでは耐性菌対策として抗菌薬サイクリング療法を施行した. 本療法では4種類の抗菌薬 [piperacillin (PIPC), cefotiam (CTM), sulbactam/ampicillin (ABPC/SBT), flomoxef (FMOX)] を3か月ごとに呼吸器感染症に対する第一選択として治療開始時に使用した. 本研究では, 本療法開始前後のPsudomonas aeruginosaの薬剤感受性を比較検討した. 対象は入所中の大島分類1の重症心身障害児 (者) で抗菌薬サイクリング療法開始前に喉頭気管分離・喉頭閉鎖を施行していない9名である. 9名のうち7名でPsudomonas aeruginosaが検出され, 抗菌薬サイクリング療法開始前後で抗菌薬全般およびニューキノロン系抗菌薬の感受性の改善を認めた. 呼吸器感染症の第一選択薬に広域抗菌薬を用いず, 抗菌薬サイクリング療法を行うことで薬剤感受性の改善を図ることができると考えた.

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© 2018 一般社団法人日本小児神経学会
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