脳と発達
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症例報告
てんかん発作群発と軽度知的障害を呈し, 新規SMC1A遺伝子変異を認めた女児例
上野 弘恵岡田 拓巳藏田 洋文島津 智之池田 ちづる今村 穂積樫木 仁水口 剛松本 直通加藤 光広
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2019 年 51 巻 5 号 p. 309-313

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抄録

Structural maintenance of chromosomes 1A (SMC1A) 遺伝子は細胞分裂時に重要なコヒーシン複合体のSMC1をコードし, Cornelia de Lange症候群 (CdLS) の約5%に同遺伝子の変異が認められる. しかし, CdLSを呈すSMC1A変異例はmissenseまたはin-flame deletion変異の報告がほとんどで, SMC1Aのnonsense変異やframeshift変異などの機能喪失変異例ではCdLSの身体的特徴が乏しいことが明らかになってきている. 我々はてんかん発作群発と軽度知的障害を呈し, 5歳時に全エクソーム解析でSMC1A遺伝子にde novoの新規ヘテロ接合性frameshift変異 (NM_006306.3 : c.2647del : p.Glu883Lysfs2) を認めた症例を経験した. SMC1Aの機能喪失変異は, 女児においててんかん発作群発と知的障害を呈するprotocadherin 19 (PCDH19) 関連てんかんと類似した臨床像を示す. SMC1A変異はCdLSの原因とともに 「素因性てんかん」 の原因として認識することが重要である.

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© 2019 一般社団法人日本小児神経学会
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