脳と発達
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症例報告
電動車いすで移動の自立を得た4歳の脊髄性筋萎縮症の2症例
須貝 みさき大府 正治當山 潤
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2020 年 52 巻 5 号 p. 323-326

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抄録

 電動車いす (電動) 支給が幼児期に決定した, 脊髄性筋萎縮症 (spinal muscular atrophy ; SMA) Ⅱ型の4歳7か月とⅢ型の4歳1か月の女児2症例を報告する. 両症例共に筋力低下, 腱反射消失, 手指の線維束れん縮を認め, SMN1遺伝子exon7-8領域欠失よりSMAと診断した. 自力歩行が不能で, 身体障害者手帳1級を所持しており, 自立支援法に基づく補装具費の支給対象となる. 3歳時にリハビリテーション施設で電動の操作訓練を開始し, 運転可能となり本人用の電動作製を申請するも, 当該自治体にて学齢児未満での支給前例がないことを理由に却下された. 本人, 関係多職種で役所を訪れて移動の自立の重要性を説明し, 実地調査を経て支給決定に至った. SMA児は, 歩けないとしても電動があれば自立して動くことができる. 適切な発達時期に移動手段を得るためには主治医が積極的に関係機関へ働きかける必要がある.

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© 2020 一般社団法人日本小児神経学会
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