脳と発達
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症例報告
SUCLA2関連ミトコンドリアDNA枯渇症候群の1例
野崎 章仁森 未央子熊田 知浩橋口 昭大髙嶋 博村山 圭藤井 達哉
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2020 年 52 巻 5 号 p. 318-322

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抄録

SUCLA2関連ミトコンドリアDNA枯渇症候群は, メチルマロン酸尿症を伴うLeigh症候群と知られる. 症例は12歳女児で血族婚なし. 臨床所見は精神運動発達遅滞, 低緊張, 感音性難聴, 摂食困難, 成長障害, 筋萎縮, 外眼筋麻痺, 眼瞼下垂, 胃食道逆流, 反復嘔吐, 矢状縫合早期癒合, 軸索型末梢神経障害, 拘束性呼吸障害, 脊柱後側彎症を認めた. 8か月での血液・髄液検査で乳酸高値を認め, 頭部MRIで大脳萎縮を認めた. 2歳時の頭部MRI (T2強調画像) で両側基底核に高信号を認めた. 以上からLeigh症候群と診断した. 血清アシルカルニチン分析でプロピオニルカルニチンの軽度増加を認めるも, 尿中有機酸分析で異常なしとの判断であった. 9歳時に末梢神経障害の研究のためエクソーム解析を行い, NM_003850.2 (SUCLA2) : c.1300del (p.Asp434Metfs8) +c.664-1G>Aと新規複合ヘテロ変異を認めた. 両親は各々保因者であった. 再度の尿中有機酸分析で, メチルマロン酸の軽度排泄増加を認めた. 筋組織の呼吸鎖複合体ⅠおよびⅣの活性が正常下限であった. 以上からSUCLA2関連ミトコンドリアDNA枯渇症候群と診断した. ミトコンドリア病患者の血清プロピオニルカルニチンおよび尿中メチルマロン酸の軽度増加を見逃さないことが重要である.

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© 2020 一般社団法人日本小児神経学会
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