2021 年 53 巻 1 号 p. 49-52
結節性硬化症は全身の過誤腫を特徴とする疾患である. 頭部の腫瘍性病変は側脳室壁に好発するsubependymal giant cell astrocytoma (SEGA) の頻度が高いが, まれに膠芽腫の発症も報告されている. 症例は9歳男児. 生後5か月時の点頭てんかんの発症を契機として結節性硬化症と診断された. 頭部CTで左前頭葉に石灰化を伴う皮質下結節を認めていた. 誘因なく突然嘔吐するエピソードを2週間で数回認めたため, 頭部CTを施行したところ左前頭葉に出血を伴う腫瘍性病変を認めた. この数時間後より頻回の嘔吐, 意識障害を認めたため, 頭部CTを再検したところ腫瘍内出血が急激に増悪し, 頭蓋内圧亢進状態であった. 緊急で腫瘍摘出術が施行され, 病理検査結果から膠芽腫と診断された. SEGAが良性腫瘍であるのに対し, 膠芽腫は悪性度が高く, 急速に増大し, 一般的に予後は不良である. 結節性硬化症の頭部病変ではSEGA以外の腫瘍の発症も念頭に入れ, 有症状のときには速やかな画像評価が必要である. また知的障害や自閉スペクトラム症を高率に合併し, 神経学的症状を把握しづらい状況も考えられるため注意する必要がある.