2021 年 53 巻 1 号 p. 44-48
脳・肺・甲状腺に病変を発現するbrain-lung-thyroid syndrome (BLTS) は, 舞踏運動様の不随意運動を特徴とする稀な疾患である. 症例は3歳男児で, 舞踏運動を伴わず, 筋緊張低下, 失調歩行および吃音を主訴に受診した. 先天性甲状腺機能低下症があり, 乳児期から喘鳴を伴う呼吸障害を反復したため, BLTSを疑いターゲットシークエンス法で解析しNKX2-1遺伝子にナンセンス変異c.664G>T (p.Glu222Ter) を認め診断した. 呼吸器疾患・甲状腺疾患を合併した症例において, 舞踏運動以外の神経症状にも着目することがBLTSの診断において重要と考えた.