脳と発達
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総説
神経セロイドリポフスチン症
—CLN2の病態と診断, 治療法を中心に—
衞藤 薫
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2021 年 53 巻 4 号 p. 251-256

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抄録

 神経セロイドリポフスチン症 (neuronal ceroid lipofuscinoses ; NCL) は遺伝性の神経変性疾患であり, 神経細胞を含めた様々な細胞のライソゾーム内に自家発光を有する蓄積物質を認める. 成人型の一部を除き常染色体劣性遺伝形式をとり, 進行性の運動発達退行, けいれん, 視力障害を来し, 一般に小児期の発症では予後が不良である. 臨床病型として, 乳児型 (infantile type), 乳児期遅発型 (late infantile type), 若年型 (juvenile type), 成人型 (adult type) の4型に分類される. 近年, ライソゾームに関連する酵素をコードする遺伝子を含めた13遺伝子の異常が本症の原因として報告されている. 本症は同一の遺伝子変異であっても, 臨床経過が異なる表現型異質性を持つ. 多様な発症機序が示唆されているが, 不明な点が多い. 本症における根本療法はないが, CLN2に於いて脳室内へのcerliponase alfaの酵素補充療法により, 自然歴と比較して運動・言語機能の低下の軽減が報告されており, 新生児スクリーニングを含めた早期診断・治療介入が重要である.

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© 2021 一般社団法人日本小児神経学会
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