【目的】知的障害や基礎疾患を持つ女性てんかん患者の月経周期異常の報告は未だ少ない. そこで当療育センターで経過観察中の女性てんかん患者を対象に, 月経周期異常の有無や抗てんかん薬 (AED) との関連, その対応について調査した. 【方法】29例のてんかん女性の発作型は焦点起始23名, 全般起始6名で, 調査時年齢およびてんかん発症年齢はそれぞれ平均28.7歳および5.9歳であった. 知的障害を22例に認め, 基礎疾患のある例は15例であった. 【結果】月経周期異常は10例, 周期正常は19例であり, 知的障害のない7例は周期正常であった. Valproate (VPA) を投与された9例中3例に周期異常を認め, 内1例は多囊胞性卵巣もあり, VPAをlamotrigineに変更されて発作の抑制と月経周期の正常化を得た. 肝の酵素誘導を引き起こすAEDを投与された21例中15例には周期異常はなく, 周期異常を認めた6例中4例はホルモン検査を受け, 内1例がcortisolの低下を示した. この例ではAEDを一部中止され, cortisol投与も受けて周期異常は軽減し発作も抑制されている. 【結論】我々の症例では月経周期異常を認める割合は既報より多く, 知的障害や基礎疾患の合併例が多いことが原因である可能性が示唆された. 周期異常を来した症例では, AEDの変更や一部中止により発作の抑制と周期異常の改善が可能であった.