脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
原著論文
Carbamazepineからlacosamideに切り替え後に低Na血症が改善した重症心身障害者6例
藤井 朋洋桐野 友子神内 済土肥 由美永井 盛博
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 53 巻 6 号 p. 448-451

詳細
抄録

 【目的】Carbamazepine (CBZ) の副作用の一つに低Na血症がある. Lacosamide (LCM) は新規抗てんかん薬であり, CBZと同じNaチャネル遮断薬である. 重症心身障害者において, CBZからLCMへ抗てんかん薬を切り替えることで, 低Na血症が改善するかを検討した. 【方法】当院の重症心身障害者病棟に入所中で, CBZを内服しており, NaCl換算で1日6g以上のNa負荷をしており, 肝・腎機能障害がない症例を対象とした. 血清Na値を含む各種検査を施行後, CBZを半量にすると同時にLCM 100mgを追加し, その14日後にCBZを中止し, LCM 200mgに切り替え, さらに約1か月後に血清Na値を評価した. 【結果】対象患者は6例, 男女比1 : 1, 平均年齢54.7±4.2歳, 切り替え前の平均血清Na値127.0±1.1mEq/L, 平均体重35.1±1.7kgであった. 全例で血清Na値は上昇していた. 観察期間内で5例はてんかん発作を認めず, 1例は切り替え途中に発作を認めたが切り替え後には発作を認めなかった. 血清Na値は平均127.0±1.1mEq/Lから134.5±1.9mEq/Lに上昇していた (p<0.05). 【結論】CBZによる低Na血症が疑われる重症心身障害者は, LCMへの切り替えにより低Na血症が改善し得る.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人日本小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top