2022 年 54 巻 3 号 p. 204-209
Guillain-Barré症候群(Guillain-Barré syndrome;GBS)では自律神経障害により可逆性脳血管れん縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome;RCVS)や心筋症などの重篤な疾患を合併する.症例は4歳女児で,下肢痛で発症し第7病日に意識障害とたこつぼ型心筋症による呼吸・循環不全をきたして人工呼吸器管理の上,当院に転院した.血管炎や脳脊髄炎を疑いステロイドパルス療法を開始したが,抜管後に四肢の筋力低下と感覚障害を認め,蛋白細胞解離と末梢神経伝導速度の低下からGBSと診断した.頭部MRIでは広範な脳梗塞を認めたが,MR Angiographyで可逆性の血管径の不整を認めたためRCVSと診断した.第16病日から免疫グロブリン大量療法を追加し,第47病日に歩行可能となり発症6か月で運動機能も病前まで改善した.心筋症やRCVSはGBSの発症早期に合併し,治療による合併予防は困難である.二次的な神経障害を防ぐため,早期の診断と自律神経障害に伴う急変を念頭においた慎重な観察が必要である.