脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
総説
脳腱黄色腫症の早期治療のために
稲葉 雄二関島 良樹
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 55 巻 1 号 p. 12-17

詳細
抄録

 脳腱黄色腫症は27-水酸化酵素活性の低下により,胆汁酸合成障害と全身諸臓器のコレスタノール蓄積によって発症する.成人期に進行する神経症状と腱黄色腫が主要症状で,新生児遷延性黄疸や発達遅滞,精神症状,難治性下痢,若年性白内障,てんかん発作などが小児期に見られるが,非特異的なため見過ごされやすい.早期発見のためにはSuspicion indexを活用し,疑った場合は血清コレスタノール濃度を測定し,CYP27A1遺伝子変異の証明により診断を確定する.ケノデオキシコール酸の服用により血清コレスタノール濃度が低下し,神経学的予後の改善が期待されるが,神経症状発現前の小児期に開始することが最も重要である.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人日本小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top