2023 年 55 巻 3 号 p. 167-172
脊髄性筋萎縮症(SMA)の医療において,3種類の疾患修飾治療薬が用いられるようになり治療と発症予防が可能となり,発症前に治療を受けた児が順調に成長発達している.その背景と疾患重篤性ゆえに新生児マススクリーニング(NBS)を期待するのは必然である.わが国でも,SMAのNBSプログラムへ導入の検討がなされ,一部の自治体や医療機関で開始され,陽性例が10例を超え,その治療が開始されている.NBS検査陽性の児の保護者への情報提供と支援,NBSを意識した診断基準の制定,診療脱落のない体制整備,治療方針決定のためのエビデンス蓄積,そしてレジストリーと長期サーベイランス体制整備が必要と考える.