脳と発達
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<企画シンポジウム6:難治性小児神経疾患の新生児スクリーニング国内新規導入の現状と課題>
将来的導入が検討される難治性小児神経疾患の課題と可能性
酒井 規夫
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2023 年 55 巻 3 号 p. 178-180

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抄録

 新生児マススクリーニングの対象疾患は,本来的には診断法が確立しており,新生児期ないし乳児期から必要な標準的な治療法が存在する疾患と言えます.しかしながら,疾患によっては新生児期の未発症の時期において診断ができても,その臨床病型に非常に幅があり,病型によっては根本的な治療法が異なる疾患があります.つまり,新生児期に疾患の診断をつけたとしても,いつ,どのような治療をすることで治療効果が証明されていない疾患については,そのスクリーニングの意義が少ないと考えられます.しかしながら,新生児期,ないし乳児期に発症する疾患で,特に神経症状の急速に進行する疾患にとっては,新生児マススクリーニングが唯一の早期診断,早期治療のチャンスであるとも言えます.そういう意味で海外の限られた地域で実施されていて,まだ国内で拡大新生児マススクリーニング対象疾患としてはあまり含まれていない疾患として,Krabbe病を例にとってその課題と可能性について考えてみたいと思います.

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© 2023 一般社団法人日本小児神経学会
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