2025 年 57 巻 4 号 p. 265-268
注視は標的が提示された視野や認知,注意の影響を受けることから,小児において興味や意思,主張の現れとなることが多い.とりわけ,視覚探索の非効率性や注意の障害を示す神経発達症は,標的によっては注視や追視,固視の脆弱性を示すため,それらの把握は社会生活の場における,支援ニーズを検討するのに重要な手がかりとなる.並行して,視線解析や脳波計測によっても社会性認知の特徴や文章の読みの困難さが可視化されるようになり,注視の観察が治療的介入の有効性評価や困難さのスクリーニングとして応用も期待されている.今後,注視の観察が客観的な定量評価の役割を担うためには,さらなる知見の蓄積が求められている.