脳と発達
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点頭てんかんの睡眠時ポリグラフ
REM睡眠期の急速眼球運動について
橋本 俊顕大原 克明日浦 恭一鈴江 純史小林 美子河野 登高橋 民夫福田 邦明遠藤 彰一宮尾 益英
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1978 年 10 巻 4 号 p. 297-302

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抄録

点頭てんかん患児8例と中枢神経系に異常のみられない対照児9例の終夜睡眠ポリグラフを記録し, REM睡眠中の水平急速眼球運動について分析した・点頭てんかんは特発性群と症候性群の二群に分類し検討した.
特発性群ではREMs/min.6.12±0.41, REM density20.89±1.63%, REMs burst/min.0.39±0.12, time interval between REMs (I) /min: I<1sec.1.63±0.28, 1sec.≦I<2sec.1.09±0.04, 1≧2sec.3.57±0.27, 症候性群ではREMs/min.3.00±0.49, REMdensity11.41±1.21%, REMsburst/min.0.08±0.03, I/min.: I<1sec.0.43±0.28, 1sec.≦I<2sec.0.42±0.06, I≧2sec.2.28±0.25であり, 特発性群のREMsburst/minを除き両群とも対照群 (REMs/min9.15±1.69, REM density26.67±4.01%, REMsburst/min.0.43±0ユ2, I/min: I<1sec.2.84±0.91, 1sec.≦I<2sec.1.66±0.33, I≧2sec.4.27±053) より低値を示し, 特に症候性群で著明であった (p<0.01).
動物実験によれば, 橋ネコでは単発性のREMしか出現しない. 更に正常ネコの上丘および中脳被蓋の破壊ではREM群発が消失し, 除皮質したものではREM群発の増加がみられるという (Jeannerodら, 1965). このことより点頭てんかんでは橋, 中脳被蓋, 網様体 (特に橋網様体) の障害が重要な意義をもつものであると推測され, 症候性群においてはその程度が高度であると考えられた.
一方REMの頻度と予後との関係では, REM数の少ないものはDQが低く, 発作の消失, 脳波の改善も不良であり, 本症においてREM睡眠中のREMの頻度を調べることは予後の判定に有用であると考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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