脳と発達
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てんかん患者においての, ナトリウム塩型及び遊離酸型Phenytoin投与時の血中濃度の検討
高松 徳光飯沼 一宇
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1979 年 11 巻 4 号 p. 278-284

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抄録
Na塩型Phenytoin (PHT, Aleviatin) 及び, 我国で一般に用いられている遊離酸型PHTの2種の剤型を, 19例のてんかん患者に投与し, その血中濃度の上昇の度合い, 平衡状態に至った時点での血中濃度の差の有無を検討した.
15例においては遊離酸型PHTを2週間投与し, その後2週間休薬した後, Na塩型PHTを投与した.
1例においては, Na塩型PHTを1週間投与後, 休薬せずに直ちに遊離酸型PHTに変更した.
3例においては, 以前から遊離酸型PHTを服用しており, 休薬せずNa塩型PHTに変更した.
まず血中濃度の上昇の速さを見る為に, 15例において, 服薬後第2日目及び第4日目の血中濃度の値, あるいは上昇の度合いを比較した場合, Na塩型PHTが遊離酸型PHTよりすぐれていたのは3例, 遊離酸型PHTがNa塩型PHTよりすぐれていたのは5例であった.
次にNa塩型, 遊離酸型PHTの血中濃度の差の比較は, 平衡状態に至った時点に行なった3回の測定値の平均を統計学的に比較した. これによると, Na塩型PHTが遊離酸型PHTより高値を呈したのが2例 (1例はP<0.01, 1例はP<0.05), 遊離酸型PHTがNa塩型PHTより高値を呈したのが4例であり (P<0.05), 残り13例は統計学的に有意差がなかった.
以上の結果よりNa塩型PHTの吸収効率が遊離酸型PHTよりすぐれているとは限らなかったが, これは投与されたNa塩型PHTの粒径が平均260μと欧米の製品に比し3-5倍大きかったことが原因と思われた.
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© 日本小児小児神経学会
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