脳と発達
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日本人の未治療てんかん患者および健常者におけるvalproate sodium一回投与後の血中濃度の変化
原 實酒井 正雄
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1979 年 11 巻 6 号 p. 584-593

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抄録

Valproate sodium (VPA, Depakene (R)) 200mgあるいは400mgを一回投与したあとの血清濃度の変化を, 末治療で, 抗てんかん剤を投与されたことがなく, その他の薬物も, 脳波検査のため3例に眠剤が投与された以外, 検索の前少くとも一ヵ月の間投与されていない日本人てんかん患者25例 (Ep群), および一切の薬物を検索の前少くとも一ヵ月の間投与されていない日本人健常者のべ14例(N群)について検索した.
1) VPAの一回投与後の最高血清濃度Pl(μg/ml)と体重1kgあたりの投与量dとの間にはd<10mg/kgでは, Ep群ではPl=9.41d-7.71(n=25, r=0.90, P<0.001), N群ではPl=7.02d+1.82(n=14, r=0.94, P<0.001)の直線相関関係が認められた.
2) VPAの血清濃度1(μg/ml)/用量d(mg/kg)比1/dと一回投与後の経過時間tとの間には, 最高血清濃度をすぎたあとでは, 総量200mgを一回投与したEp群ではlog(1/d)=-0.0304t+0.9420(n=12, r=-0.9979, P<0.001), 400mg一回投与のEp群では log(1/d)=-0.0178t+0.9029(n=13, r=-0.9948, P<0.001), 200mg一回投与のN群では log(1/d)=-0.0256t-0.9111(n=7, r=-0.9961, P<0.001), 400mg一回投与のN群では log(1/d)=-0.0230t+0.9058(n=7, r=-0.9842, P<0.001)の相関関係が認められた.この4群では対応する時間で1/dの有意差はない. しかし参考資料とした2,000mg一回投与の健常者群では log(1/d)=-0.0232t+0.6002(n=3, r=-0.9883, P<0.001)であって, さきにのべた4群とくらべると多くの対応する時間で有意に低く, 一回投与量がある量をこえると, 1/dが低くなることを示唆した.
3) 一回投与から最高血清濃度に達するまでの時間は200mg投与ではEp群1.99±0.76時間, N群1.87±0.52時間, 400mg投与ではEp群2.23±1.26時間, N群2.22±0.51時間で, 4群の間に有意差はなかった.
4) 半減期は200mg投与ではEp群14.32±3.08時間, N群14.06±3.51時間, 400mg投与ではEp群17.18±7.71時間, N群17.28±6.12時間で, 4群の間に有意差はなかった.

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© 日本小児小児神経学会
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