脳と発達
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小児の慢性頭痛に関する研究
第3報脳波学的研究
加藤 昌弘高井 一美
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1980 年 12 巻 1 号 p. 45-49

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抄録

片頭痛を中心とした慢性頭痛の脳波学的研究はかなりみられるが, その結果は報告者によりまちまちである.
診断基準および脳波の記録条件が一定してない所にも問題があると考えられる.そこで, 診断基準を設定し, 脳波記録条件を一定にした場合の, 小児慢性頭痛の間歇期脳波を検討せんとした.対象は, 片頭痛127名 (典型73名, 普通型54名), 分類不能群57名および筋収縮性頭痛22名の計206名である.
片頭痛では35%に異常がみられ, 棘波を25%に認めた.典型・普通型の型, 性, 発症年齢, 発作頻度, 発症からの期間および片頭痛の家族歴の有無の諸因子について検討したが, 有意差はなかった.分類不能群では47%に脳波異常があり, 37%に棘波を認めた.分類不能群を含めた検討の結果, 片頭痛の脳波異常は, 単に発作による二次的な変化のみとは考えられないことを述べた.筋収縮性頭痛は41%に異常を, 32%に棘波を認めた.
各群とも棘波を高率に認め, 睡眠時記録の必要なことを述べた.

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© 日本小児小児神経学会
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