脳と発達
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12 巻, 1 号
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  • 509例の検討
    石川 丹, 友利 典子, 宮尾 益知, 土屋 節子, 丸山 博
    1980 年 12 巻 1 号 p. 2-18
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    てんかんと診断されたが脳器質病変の可能性も考えられたてんかん児509例にコンピューター断層検査 (CT) を施行した.CT異常率は全てんかん児の131例 (25.7%) に見られた.点頭てんかん60.4%, 片側けいれん52.4%, Lennox-Gastaut症候群35.2%, 全身強直/間代けいれん16.2%, の異常率であった.異常所見の大部分は脳萎縮であった.その他の異常としては脳腫傷 (2例), 脳硬塞 (2例), 硬膜下血腫 (2例), 結節性硬化症 (2例), 脳室周囲の白質軟化 (1例), 脳架欠損症 (1例), 正常圧水頭症 (1例), および胎内サイトメガロウィルス感染を思わせる脳室壁石灰化 (1例) が見られた。てんかん重積症の2例では大脳半球浮腫とそれに引続いて同一脳半球萎縮が見られた. CTによつて脳萎縮を発見されたものは脳萎縮のなかったものより知的および運動性の障害を有することが多かった.CTは非侵襲性であるため, てんかんのような機能的疾患をもつ患児で, 何らかの脳病変を発見する手段として適していた.
  • 岸川 秀実, 大本 堯史, 西本 詮
    1980 年 12 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    痙攣発作を初症状とし, 脳圧亢進症状を認めず, かつ神経学的所見にも異常を認めなかった小児 (15才未満) の脳腫瘍手術例を6例経験したので症例検討および若干の文献的考察を加えた.
    年齢は, 1-14才, 男性2例, 女性4例で, seizure typeは, 全例にgeneralized tonic seizureを認めた.Jacksonian seizureおよびfocal seizureは, いずれの症例にも認められなかった.seizureの初発から手術までの期間は, 3週間から3年間で, 脳腫瘍の診断確定までに比較的長期間を要している症例が多かった. 脳波上の特徴として, 全例にfocal slow waveを認め, 2例にfocal spikeを伴っていた. また, 診断的に注目されるのは, コンピューター断層撮影 (CT) で容易に脳腫瘍の存在が発見されることであり, 神経学的に異常所見を認めず, 痙攣発作のみを主訴とする小児例に脳腫瘍がこのように多く発見されるようになったのは, 近時のCT応用の結果である. 脳腫瘍の発生部位は, 前頭葉2例, 側頭葉3例, 中頭蓋窩1例で, 腫瘍の大きさは, 5-3109で, 発作の初発より診断確定までの期間は, 特に腫瘍の大きさとは関連がみられなかった. また, 腫瘍の種類にも特徴が認められなかった.
    以上, 小児脳腫瘍においては, 痙攣発作に明らかな特徴を見出せないため, 日常診療に当って, 小児の痙攣発作をみた場合, 神経学的に異常を認めなくとも, 脳波検査に加えてCT検査を行ない, 器質性疾患の有無を早期に診断することが肝要であろう.
  • 筋肉内毛細血管の変化を中心にして
    三杉 信子
    1980 年 12 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児の多発性筋炎は壊死性血管炎から起因されるものであって, 成人の場合とは異なるものであるとする考えが広く信じられている.しかし両者の病理学的所見の比較については報告がない.著者は電子顕微鏡によって多発性筋炎の小児5例, 成人3例の生検筋について約350個の毛細血管の横断面を観察し, 内皮細胞の変化, 基底膜の異常, tubular structureの存在などを主として観察し準定量的に分析を行なった.
    1) 内皮細胞の変化: 即ちpale swollen endotheliumや血管内腔の狭小化の所見は, Walton-Adams II型の小児では43.4%から91.8%に認められた.しかしWalton-Adams III型の1例では6.5%にすぎなかった.一方, 成人例では37.2%から68.5%に異常を認めた.
    2) systemic lupus erythematosusなどで報告されている内皮細胞内のtubular structureは成人と小児の全例で内皮細胞の小胞体の中やperinuclear cisternaの中に認められた.また, pericyteや血管周囲の平滑筋中にも見出された.これは異常血管内に出現することが多い傾向はあるが正常の内皮細胞の中にも認められた.
    3) 基底膜の重複, 肥厚などの変化は, 小児では3.3%から23%に認められた.成人では2.3%から5.7%に認められた.これはDuchenne型筋ジストロフィー症で71.4%に存在し, 多発性筋炎に特異的な所見とはいえなかった.
    小児の多発性筋炎に特異的とされている血管炎の所見は, 成人に於いても観察された.血管変化は小児多発性筋炎のみに限られた所見ではなかつた.血管変化が少ない症例もあり, 病因を血管炎以外のものにも求められるべきである.
    小胞体内のtubular structureは病型及び小児成人の区別なく全例に容易に見出された.これは診断上重視してよい所見と考える.
  • 小穴 康功, 飯森 真喜雄, 松田 ひろし, 三室 泉, 三浦 四郎衛
    1980 年 12 巻 1 号 p. 36-44
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児けいれんの予後について, 臨床発作, 脳波所見, 精神症状の三点を中心に検索した. 症例は昭和40-52年の東京医科大学神経精神科脳波被検者7652名の中から, 小児けいれん後8年以上に及ぶ棘・徐波複合非消失のてんかん者を32名選択し, そのうち, 挿間性精神症状が出現した13例を挿間症群として, 精神症状が出現しなかった19例を対照群として, 両群に関し臨床面からの比較研究を行なった.
    その結果, 挿間症群の中でも特に長期間の棘・徐波複合非消失例は女性に多く, てんかん発作初発は対照群と比較して, より小児期におこる傾向が認められた.初発発作後約10年後に精神症状が出現し, かつ, 前頭・側頭部焦点を有するものが多く, 原発性強直間代発作を示す例には精神症状が出現しにくい傾向が認められた.また挿間症群は二次性強直間代発作と他の発作型の複数出現例に多い傾向がある.強直間代発作の経過は数年間毎年発作が出現すると次の数年は消失し, また再び数年発作が続き消失するというパターンを示した.強直間代発作の年単位の発作間歓期は, 挿間症群では対照群より3.1年短く, 従って難治例が多いことになるが, 当科で治療を開始してから最近の5年間, 無発作の予後は両群とも有意差がない.精神症状の経過として慢性経過をとるものは少ない. 挿間症群中で, 8年以上に及ぶ棘・徐波複合の変動は, 周波数の増加傾向と15-20才の年齢層での持続時間の減少が特徴的といえよう.
  • 第3報脳波学的研究
    加藤 昌弘, 高井 一美
    1980 年 12 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    片頭痛を中心とした慢性頭痛の脳波学的研究はかなりみられるが, その結果は報告者によりまちまちである.
    診断基準および脳波の記録条件が一定してない所にも問題があると考えられる.そこで, 診断基準を設定し, 脳波記録条件を一定にした場合の, 小児慢性頭痛の間歇期脳波を検討せんとした.対象は, 片頭痛127名 (典型73名, 普通型54名), 分類不能群57名および筋収縮性頭痛22名の計206名である.
    片頭痛では35%に異常がみられ, 棘波を25%に認めた.典型・普通型の型, 性, 発症年齢, 発作頻度, 発症からの期間および片頭痛の家族歴の有無の諸因子について検討したが, 有意差はなかった.分類不能群では47%に脳波異常があり, 37%に棘波を認めた.分類不能群を含めた検討の結果, 片頭痛の脳波異常は, 単に発作による二次的な変化のみとは考えられないことを述べた.筋収縮性頭痛は41%に異常を, 32%に棘波を認めた.
    各群とも棘波を高率に認め, 睡眠時記録の必要なことを述べた.
  • 大田 典也, 折口 美弘, 満留 昭久
    1980 年 12 巻 1 号 p. 50-54
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Infantile neuroaxonal dystrophy 4症例の腓腹神経病変の微細構造と組織計測結果を述べる.本疾患の末梢神経病変として特異的所見である軸索内の異常小器官が4症例全てにみられた.組織計測結果では, 有髄線維密度が最年長の3才10ヵ月男児例で低下を示したが, その他の点では有髄および無髄線維密度の低下は明らかでない.有髄および無髄線維直径ヒストグラムに異常はみられない.
    軸索内異常小器官の出現を指標として, 有髄および無髄軸索の異常である頻度の検討では, 無髄線維にやや高い傾向がみられた.本疾患では中枢神経に軸索腫大が広汎に存在する点も通常のニューロパチーとは異なるが, 末梢神経病変も通常のニューロパチーのそれと異なる.大径有髄線維が優位に侵される規則性がなく, 有髄無髄のいずれの線維も同程度に同じ病変を呈すると考えられる.
  • 土田 正, 小泉 毅
    1980 年 12 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    家族歴にて, 常染色体優性遺伝を示すvon Recklighausen (vR) 病の3才7ヵ月の男児にmacrocraniumを見, computed tomographyにて水頭症や脳腫蕩を否定された例を報告した.生下時頭囲は正常で, 1カ月健診より頭囲の拡大がみられ, 現在レ線学的にも明らかなMacrocraniumの所見が認められ, 精神身体発育では1才程度の遅れが認められている.生後6ヵ月の弟にも頭囲の拡大があり, vR病は, 神経外胚葉性, 間葉系組織の多彩な異常を示す疾患として知られており, 本邦では未だ報告をみないが, Macrocranium又は, macrocephalusをvR病の一徴候として挙げてよいと考えた.
  • 佐々木 公男, 宇佐美 卓, 堤 博, 本谷 尚, 奥山 富三
    1980 年 12 巻 1 号 p. 60-67
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児期より哺乳力微弱, 痙攣, 頭囲拡大を認め, 生後4ヵ月で死亡した硬膜下水腫および血腫を伴ったhydranencephalyの1剖検例を報告した.
    症例は生後16日の女児で, 出生時仮死があり, その後哺乳力微弱, 痙攣, 筋緊張亢進, 低体温を認めたので当センターへ入院した.入院時大泉門膨隆, 頭囲拡大, 痙攣および黄疸を認めた.頭部X線写真では頭蓋のすべての縫合が高度に離開していた.CTscanにて大脳実質が広汎に欠損し, テント上における頭蓋内low densityareaを認めたのでhydranencephalyと診断した.頭蓋透光試験, 脳血管撮影および脳波でも本症に一致する所見が得られた.髄液shunt術を行ない, 経過は比較的順調であったが, 生後4ヵ月急性硬膜下血腫および感染のため死亡した.病理解剖所見としては両側の硬膜下水腫および硬膜下血腫を認めた他, 大脳半球は側頭葉とlimbiclobeの一部を除いて広汎に欠損し, 髄液を満たした膜様襞胞が存在した.襞胞底には大脳基底核, 中脳および視床が認められ, 中脳水道狭窄を伴っていた.組織学的には膜様嚢胞はグリア細胞と軟膜より成り, ependymal liningは認められなかった.内頸動脈は極めて細く, 前, 中, 後大脳動脈の発達も悪かった.
  • 町田 徹, 前原 忠行
    1980 年 12 巻 1 号 p. 68-80
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 今村 正人
    1980 年 12 巻 1 号 p. 81-82
    発行日: 1980/01/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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