脳と発達
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大沢 真木子
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1980 年 12 巻 3 号 p. 212-218

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抄録
中枢神経疾患には, 現在の医学の進歩によっても未だ治療法の確立されていないものが多い.これら疾患に対し, 我々は, 遺伝性・非遺伝性によらずその発生要因を明らかにし可能な限り発生予防に努める義務がある.遺伝相談はその一手段である.
また一方遺伝性疾患患児が家族内にいるが理論的には遺伝的負荷はほとんどないと推定される者や, 非遺伝性疾患をもつ家族が「遺伝性に対する不安」を持っていることがある.その悩みを軽減するのも遺伝相談の一目的である.
ここでは, 常染色体性優性遺伝性疾患の親子発生例, 突然変異例の各両親, 常染色体性劣性遺伝性疾患患児を同胞にもつ者, 伴性劣性遺伝性疾患のprobable carrierの女性, 遺伝形式不明の疾患の子をもつ両親に対する相談例を挙げ, practicalな面につき述べた.
診断を確立し自然歴を把握する重要性と, 遺伝相談があくまでもクライアントとその家族の幸福のために行なわれるべきものであることを強調したい.さらに, 原因不明の神経疾患一つ一つにつき, その発生要因を究明してゆくことが, 我々小児神経科医の今後の課題である.
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© 日本小児小児神経学会
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