抄録
点頭てんかんの予後を脳のCTスキャン所見から推察する可能性を明らかにするため, 27例の点頭てんかん患児の脳のCTスキャン所見を, 型の類似性から6型に分類し, それぞれの型と, 周生期異常の有無, 発症時の年齢, 発症時までの神経学的発達異常の有無発症から治療開始までの時間, すなわちtreatment lag, 最近の発達指数 (D.Q.) およびACTH療法後の臨床経過などとの関係を検討した.
CTスキャンの所見を次のように分類した. (1) Type1: 皮質萎縮が主で, 脳室拡大は軽度なもの (6例),(2) Type2: 脳室拡大が主で, 皮質萎縮は軽度なもの (5例), Type3: 皮質萎縮および脳室拡大のあるもの (7例),(4) Type4: 側脳室壁にhigh density spotsを認めるもの (5例),(5) Type5: 大脳半球の一側性に萎縮を認めるもの (2例),(6) Type6: 異常所見を認めないもの (2例).
Type1の6例中5例は発作が消失し, 現在も認めない.Type2の5例中1例は発作が消失し, 3例が再発し, 1例が強直性けいれんへ移行した.Type3の7例中2例は発作が消失し, 1例は強直性けいれんへ移行した.再発したり, Lennox-Gastaut症候群へ移行したものがそれぞれ2例あった.Type4の5例中4例はLennox-Gastaut症候群へ移行し, 1例は発作が消失した.Type5は1例は発作が消失し, 1例は強直性けいれんへ移行した.Type6の2例はともに発作が消失した.
Type1および6の所見を示す点頭てんかんの予後は良く, Type2および3の所見を示す点頭てんかんの予後は悪い。Type4の所見を示す点頭てんかんは, Lennox-Gastaut症候群へ移行するものが多かった.
Type2, 3および4の所見を示す点頭てんかんは特に予後が不良で注意深い経過観察が必要と考える.