脳と発達
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Primidone継続投与による熱性けいれんの再発予防 (続報)
Primidoneならびにprimidone由来のphenobarbital血中濃度との関連
皆川 公夫三浦 寿男金子 次雄須藤 芳正
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1980 年 12 巻 4 号 p. 287-296

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抄録
Primidone (PRM) 継続投与による熱性けいれんの再発予防効果を, PRMおよびPRM由来のphenobarbital (PB) 両者の血中濃度面より検討し, 合わせてPRMの生体内挙動の一端についても考察を加えた.
38.0℃ 以上の発熱に際して2回以上のけいれん発作の既往があり, PRM15~20mg/kg/dayを単独で継続服用させ, 9ヵ月以上最長1年9ヵ月経過を観察し, 最初の6ヵ月間に少なくとも一度は38.5℃ 以上の発熱を認めたPRM投与開始時年齢1~6歳の50例 (単純型25例, 複合型25例) を対象とした.PRMならびにPBの血中濃度測定は, 初回は投薬開始後4~6週に施行し, 以後は6ヵ月間隔で行なった.このうち, 熱性けいれんの再発予防が可能なPB血中濃度16μg/ml以上のものは初回測定時には7例, 第2回目測定時は11例にすぎず, PRM血中濃度は初回は4.8~18.9μg/ml, 第2回目は3.0~15.2μg/mlであったが, 全経過観察期間を通じての熱性けいれん再発率は50例中5例 (10%) と低率であった.再発例5例のPB血中濃度はすべて10μg/ml未満であったが, PRM血中濃度は6.2~17.4μg/mlと広範囲にわたった.
以上, PRMの常用量継続投与により, 多くは熱性けいれんの再発予防が可能であり, この際にはPRM自身が抗けいれん作用を有することが予測されるが, その有効血中濃度の一線は画しえなかった.
また, PRMを継続投与すると, 初回測定時に比して第2回目測定時には, PB/PRM血中濃度比が増大し, かつ両者間の相関係数の上昇がみられた.
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© 日本小児小児神経学会
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