脳と発達
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点頭てんかんの治療に関する研究
ACTH, Sodium valproate (VPA) 併用療法の作用機序に関して
横山 純好児玉 荘一中村 正文奥村 司三輪 正樹Shinichi MiyakeTamotsu Matsuo
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キーワード: VPA, ACTH, GABA, 点頭てんかん
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1980 年 12 巻 5 号 p. 382-387

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抄録

点頭てんかんに対する初回療法としてACTH+VPA併用療法を試み良好な結果が得られたので, ACTH+VPA併用の本症に対する作用機序を脳内GABA代謝の立場より検討した.すなわち体重150~1709の雌ウィスター系ラットを (A) 対照群,(B) 絶食群,(C) VPA投与群,(D) ACTH投与群,(E) ACTH+VPA併用投与群に分けて小脳を除く脳内GABA含有量を測定した結果, 絶食群, ACTH単独投与群では対照群に比し有意差を認めなかったが, VPA投与群, ACTH+VPA併用投与群ではラット脳内GABAの増加を認め, 特にACTH+VPA併用投与群では著明で51%の増加率を認めた (P<0.05).
これはACTH単独投与ではラット脳内のGABA代謝に影響を与えないが, ACTH+VPAの併用によりACTHがVPAの作用を強めてラット脳内GABAの著明な増加をもたらしたものと考えられる.更に点頭てんかんに対する初回療法としてACTH+VPA併用療法がACTH単独療法より, より有効であった理由の一つとして脳内GABAの増加によることが推測できる.

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© 日本小児小児神経学会
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