脳と発達
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“Non progressive ataxic syndromes”12例の臨床的検討
宇根 幸治塩永 淳子原口 宏之安藤 忠高松 鶴吉
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1980 年 12 巻 5 号 p. 395-404

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抄録

例の (先天性) 非進行性小脳失調症と思われる症例を報告した.男女比は3: 9, 年齢は1歳5ヵ月から14歳までである.
12例をHagbergらの分類により検討すると, 4例がdysequilibrium syndromeで, 5例はcongential cerebellar ataxiaと考えられた.
dysequilibrium syndromeの4例は, 坐位での躯幹, 下肢の立ち直り反応や, 立位での平衡反応が出現せず, 3例が四つ這い獲得に24月以上要し, 坐の獲得も遅く, 運動発達が極めて悪い.全例独歩は不可能である.
congenital cerebellar ataxiaの5例は, 比較的運動発達が良好で, 3例が5歳までに独歩を達成しており, 坐位, 立位での反応も充分にみられた.
3例は, 今後経過を追っていずれか決められると思えた.
全例に, 言語発達および認知の障害があり, 特にdysequilibrium syndromeの2例には, 形態ならびに空間認知機能の低下がみられた.また, 12例の患児の示す種々の姿勢運動を分析し, 失調症の早期診断法や, 両者の鑑捌の手がかりを示した.

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© 日本小児小児神経学会
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