脳と発達
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Leigh脳症に対するビタミンB1の大量療法と臨床経過, ならびに血中, 髄液中のビタミンB1濃度の関連性の検討
工藤 英昭富田 温子豊福 照子大野 耕策
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1980 年 12 巻 6 号 p. 509-518

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抄録

家系3例のsubacute necrotizing encephalomyelopathyを経験し, うち2例にビタミンB1の長期大量療法を試み, 随時血清・髄液中のビタミンB1を定量し, ビタミンB1の治療効果につき, 検討した.臨床経過を可能な限り分析的定量的にみるため, 詳細な経過観察項目を作製し, 経過を観察し, 各項目に検討を加え変化の著しかったものを, 項目毎の判定基準により判定し, 血清中, 髄液中のピルビン酸, 乳酸, ビタミンB1濃度と共に図式化し, 以下の結果を得た.1) ビタミンB1持続的経静脈的投与時は大量投与時ほど, 血清中, 髄液中のビタミンB1濃度は高値を示した.2) ビタミンB1の大量投与にも拘らず, 患児の状態を正常にもどし得なかった.3) ビタミンB1の投与法, 投与量と血清中, 髄液中のピルビン酸, 乳酸濃度を分析的にみた臨床経過の3者間には, 関連性を見出し得なかった.4) 血清中・髄液中B1濃度と血清中・髄液中ピルビン酸濃度, 乳酸濃度, 臨床症状間にも関連性は見出し得なかった.

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© 日本小児小児神経学会
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