脳と発達
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ACTH療法による頭部CT像の変化の可逆性
北條 博厚中野 省三片岡 健吉
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1981 年 13 巻 3 号 p. 220-226

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抄録
点頭てんかん29例, Lennox症候群5例の計34例の患者に37回のACTH療法を行ない治療前, 直後および継時的に頭部CTを検査して脳退縮の程度, 回復の時期, 退縮の程度に関与する因子を検討した.治療年齢は4カ月から5歳7カ月, 追跡期間は2カ月から2年4ヵ月, 平均15.1カ月である.
1. planimeterによつて測定した脳断面積/頭蓋内面積は, 治療前92.5%(σ=±4.8) 直後87.5%(σ=±5.4) であったが, 治療後4-6カ月では, 92.5%(σ=±4.1) と回復した.面積の実測も同様の経過を示した.
2. 最大第3脳室中も治療前2.1mm (σ=±1.1) 直後2.7mm (σ=±1.2) となったが, 4-6ヵ月では2.1mm (σ=±0.5) と回復した.最大鈎間距離も同じ傾向を示した.
3. 脳退縮の程度はACTH総量と相関した.また, 幼若乳児程強い傾向がみられた。
4. 硬膜下水腫を認めた例はなかった.
5. ACTH療法は点頭てんかんの治療上有用であることを述べた。
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© 日本小児小児神経学会
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