脳と発達
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13 巻, 3 号
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  • 木下 真男
    1981 年 13 巻 3 号 p. 176
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 小林 登
    1981 年 13 巻 3 号 p. 177-178
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 米澤 猛
    1981 年 13 巻 3 号 p. 179-183
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ヒトの脱髄疾患や動物モデルとされるEAE, EANにおける脱髄病変は, 髄鞘の成分を抗原とするアレルギー性機序によって生ずる.これには液性免疫と細胞性免疫とがともに関与する.抗原として問題となる物質にはガラクトセレブロサイド, 塩基性蛋白とその一部の脳炎催起性ペプタイドがある.前者はハプテン抗原として作用し, 動物種によって抗原性が異なるが主として体液性免疫が問題となる.すなわち抗ガラクトセレブロサイド抗体はin vitroの神経組織で脱髄を生じ, また髄鞘形成を抑制する作用がある.脱髄病変は食細胞が髄鞘への侵入破壊する現象を促進し, オプソニン効果が示唆される.これと共に髄鞘の層状構造の移開を来すなどの変化を生ずる.これは補体依存性のIgG分画にある抗体である.これに対し細胞性免疫は塩基性蛋白や脳炎催起性ペプタイドを抗原とし, リンパ球を刺戟して抗体を作るが, この抗体は生物学的にはあまり問題をおこさない.しかしT細胞を刺戟して細胞毒性および食細胞賦活化を来す.これらの作用は感作T細胞を抗原刺戟する事によって放出されるリンフォカインの作用に一致し, 分子量40,000~44,000の分画は細胞毒性を示し, これよりやや分子量の少ない分画は食細胞を賦活化する.この細胞性免疫はいずれの動物種にも見られる現象で脱髄病変の背景にある免疫現象の中心的作用とみなしうる.
  • ウイルスのM (matrix) 蛋白について
    佐藤 猛, 小林 了, 安野 みどり, 内山 恒夫, 竹田 和正
    1981 年 13 巻 3 号 p. 184-188
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ウイルスを構成する種々のポリペプチドと, それに対応する抗体を新しく開発したelectrophoretic membrane transfer (EMT) 法により検索した.この方法は電気泳動したSDSポリアクリルアミドゲル内の蛋白分画をニトロセルロース膜に転写し, 抗血清で反応させた後, 125I protein Aで標識オートラジオグラィーを行なう.
    (1) SSPEウイルスと麻疹ウイルスとにおける構成ポリペプチドのパターンに差はなく, M (matrix) 蛋白も両者に検出された.
    (2) 2例のSSPE患者血清ではM蛋白に対する抗体だけが検出されなかった.一方, 他のウイルス構成ポリペプチドに対する抗体は総て証明された。
  • 貴田 嘉一, 林 正俊, 森本 武彦, 長尾 秀夫, 松田 博
    1981 年 13 巻 3 号 p. 189-194
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近, 重症筋無力症は神経筋接合部のアセチルコリンレセプター (ACh-R) に対する自己免疫疾患であることが明らかにされてきた.本研究では,(1) 重症筋無力症患者の血液中の抗ACh-R抗体価が重症筋無力症の重症度や臨床経過とよく平行することを示し, 抗ACh-R抗体の病因論的意義および診断学的意義を明らかにした. (2) 抗ACh-R抗体はACh-Rに作用してACh-Rの神経伝達物質に対する結合部位数を減少させることによって神経筋接合部での化学的神経伝達を阻害することを示した. (3) 重症筋無力症患者では血清IgM濃度が正常人より高いことを示し, 重症筋無力症患者に異常な免疫学的背景のあることを示唆した.
  • 鴨下 重彦
    1981 年 13 巻 3 号 p. 195-199
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    自験6例の病理所見および最近の文献よりataxia-telangiectasia (A-T) の特徴を以下のごとく整理した.
    1) A-Tの胸腺はリンパ球の減少,Hassall小体の消失など形成不全が全例に認められ,原発性免疫不全症候群の主要な一型である.ただし,胸腺の変化にはage involutionと思われるものもあり,また少数ではあるが,免疫不全を示さない症例が存在する.
    2) 悪性リンパ腫を合併した症例があり,文献上もリンパ系悪性腫瘍や,脳腫瘍,癌で死亡する例が次第に増加しており,A-Tは遺伝性癌化症候群と考えられる.
    3) 中枢神経系を中心に病理学的に早発老化の変化が著しい.臨床的にも皮膚,毛髪,体型などからprogeriaに類似する.
    4) 全身のほとんど総ての臓器に著明に認められる巨核症nucleomegalyが本症に最も特徴的な病理所見であり,これは細胞の分裂・再生あるいはDNA修復機構の障害を示す所見と考えられる.
  • 二瓶 健次
    1981 年 13 巻 3 号 p. 200-204
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    抗T細胞抗体活性を測定し, 多発性硬化症7/19例, 小児重症筋無力症5/24例, シルダン病2/0例, SSPE0/2例, SLE5/11例, 若年性関節リウマチ0/2例, 皮膚筋炎1/2例に陽性を示し, 対照10例は総て陰性であった.作製した抗脳抗体が強い抗T細胞活性を示したが種々の脳glycoproteinに対する抗体では抗T細胞活性は陰性であった.また, 抗T細胞抗体は脳組織で吸収された.
    神経疾患に見られる抗T細胞抗体の出現が脳と胸腺, T細胞との共通抗原性から出現する可能性について, 逆に種々の免疫疾患に見られる神経症状, 抗脳抗体の出現についても, この両者の共通性が関与している可能性について考察した.
  • 薦田 房子, 早川 浩, 小林 登
    1981 年 13 巻 3 号 p. 205-208
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    I) 感染症を中心とする中枢神経疾患の末梢血Tリンパ球の動態について検討した.化膿性髄膜炎7例につき病初期に検索した6例中全例においてTリンパ球が比率, 絶対数とも著しく減少し, 疾患の回復に伴なって回復する傾向がみられた.無菌性髄膜炎8例中5例においても同様の傾向がみられたが, 比較的軽度で, 回復が速やかであった.ウイルス性脳炎の3例でも同様の傾向がみられたが, 後遺症を残した例では, 正常値まで回復しなかった.一方敗血症, 膿胸, 腎盂腎炎等の全身感染症では10例中8例が急性期にも, Tリンパ球の比率は正常であった.また, 脳腫瘍, モヤモヤ病等の脳血管障害, 変性疾患, 重症筋無力症等の自己免疫疾患でも, Tリンパ球の減少が認められた.
  • 奥野 武彦
    1981 年 13 巻 3 号 p. 209-210
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 熊谷 公明, 太田 秀臣, 玉井 勇, 堀田 秀樹, 久保 政勝, 臼井 信男, 奥山 裕子
    1981 年 13 巻 3 号 p. 211-219
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    点頭てんかんACTH療法の再評価のため, ホルモン療法を行なった自験例について副作用の検討を行なった.今回は副作用の中から易感染性, 電解質代謝, CT所見での脳縮少の問題を検討した.
    1) 易感染性については, 16例中8例は治療開始後1~2ヵ月で重症感染症を生じた.
    2) 電解質代謝については13例に検討を加え, 血清Po値の低下, 血清Naの上昇がみられた.
    3) CT上の脳縮少については, 10例に検討を加え, 全例に治療開始後脳の縮少を認めた. 1例について連続CTを行ない, 治療開始6週で著しい脳縮少をみるも, 発作も脳波上も改善をみている.しかし終了4ヵ月後にはCT所見もほぼ回復していた.
  • 北條 博厚, 中野 省三, 片岡 健吉
    1981 年 13 巻 3 号 p. 220-226
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    点頭てんかん29例, Lennox症候群5例の計34例の患者に37回のACTH療法を行ない治療前, 直後および継時的に頭部CTを検査して脳退縮の程度, 回復の時期, 退縮の程度に関与する因子を検討した.治療年齢は4カ月から5歳7カ月, 追跡期間は2カ月から2年4ヵ月, 平均15.1カ月である.
    1. planimeterによつて測定した脳断面積/頭蓋内面積は, 治療前92.5%(σ=±4.8) 直後87.5%(σ=±5.4) であったが, 治療後4-6カ月では, 92.5%(σ=±4.1) と回復した.面積の実測も同様の経過を示した.
    2. 最大第3脳室中も治療前2.1mm (σ=±1.1) 直後2.7mm (σ=±1.2) となったが, 4-6ヵ月では2.1mm (σ=±0.5) と回復した.最大鈎間距離も同じ傾向を示した.
    3. 脳退縮の程度はACTH総量と相関した.また, 幼若乳児程強い傾向がみられた。
    4. 硬膜下水腫を認めた例はなかった.
    5. ACTH療法は点頭てんかんの治療上有用であることを述べた。
  • 渡辺 一功, 原 紀美子, 袴田 享, 宮崎 修次
    1981 年 13 巻 3 号 p. 227-232
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ACTH-Z療法後に硬膜下血腫を生じた点頭てんかん児を報告し, あわせて点頭てんかんをふくむ種々のてんかん児17例においてACTH-Z療法施行前後のCT所見を検討した結果を述べた.とくに1歳以前の乳児においては, ACTH-Z療法によりCT上のみかけの脳縮小がつよい傾向にあり, この年齢では本療法は慎重に行なう必要があると考えられる.
  • CTによる検討
    矢野 英二, 山本 正士, 山下 文雄, 青木 信之, 松石 豊次郎, 石原 修, 片渕 幸彦
    1981 年 13 巻 3 号 p. 233-239
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ステロイド療法中のネフローゼ症候群15例とACTH療法中の点頭てんかん8例にコンピューター断層撮影 (CT) を行ない, ネフローゼ症候群15例中12例に, 点頭てんかん8例全例にCT上, 種々の程度の脳萎縮所見を認めた.
    CT上の萎縮所見の程度を数量化するためにYHPコンピューターによるCT像の解析を行なった (CSF-space/intracranial spaceratio.%).結果はネフローゼ症候群6.6±3.9%, 点頭てんかん16.4±7.8%で正常対照群34例, 1.6±0.8%に比し, それぞれ有意差を認めた.
    ネフローゼ症候群の異常群12例の経時的CTでは, ステロイド減量, 中止により9例 (75%) 正常化した.点頭てんかん8例もACTH療法中止により全例改善した.
    以上の結果より, CT上の脳萎縮像は可逆性変化と思われた.しかしながら, ステロイドおよびACTHの中枢神経系への影響に関しては未だ未解明の部分が多く, 特に発達期にある乳幼児期の長期大量療法に関しては, 充分に配慮されるべきであると思われた.
  • 藪内 百治
    1981 年 13 巻 3 号 p. 241
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 瀬川 昌也
    1981 年 13 巻 3 号 p. 242-248
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    筋ジストロフィー症は骨格筋に主病変を有し, 神経系に異常を認めない疾患であるが, その本態は不明である.その診断, 分類は遺伝形式, 臨床症状上罹患筋の分布に基づいてなされているが, 新しい検査法が診断に導入されると異質の疾患が筋ジストロフィー症と診断されていることが判明している.特に組織化学的検査の導入により, 肢帯型および顔面肩甲上腕型には神経原性筋萎縮症, 多発筋炎, 先天性ミオパチーが含まれる可能性を示し, それぞれ症候群と呼ばれるようになった.したがってDuchenne型のみが遺伝, 臨床, 病理, 生化学面で単一の疾患と考えられる.しかし, Duchenne型にみる知能障害の病態に関する意義は不明である.この点Duchenne型と同等の筋病変を有し中枢神経病変を合併する福山型の研究は, 本症の本態究明に重要である.
  • 植田 啓嗣
    1981 年 13 巻 3 号 p. 249-254
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    CPKは臓器内では骨格筋, 心筋と脳の3臓器に含まれ, その血清値は骨格筋, 心筋と神経系の疾患で上昇がみられる.
    この場合の組織内のCPKが血清に漏出する機構であるが, 組織崩壊が起こる多発性筋炎や心筋梗塞, それにある物質が蓄積する種々の蓄積症では理解はしやすい.しかし脳卒中発作後に上昇する血清CPKが脳由来ではなく骨格筋由来であることは誠に奇異で, そこに神経興奮による筋鞘 (細胞膜) 自体の透過性の変化が示唆されよう.
    Duchenne型筋ジストロフィー症は男児にのみ発症し, その罹患筋は3次元的な拡がりを持って, 年単位で進展し, 末期には骨組織をも含めた多肢にわたる臓器が侵襲される。このような点からみると, 本症はprimary myopathyの範ちゅうを脱した遺伝性の全身的な代謝調節障害ともいうべきで, とりわけそこに自律神経関与の印象を強く与える.
    そのため私共は。家兎を用いて, 視床下部のb交感帯を電気刺激してみたが, 血清CPK値は著明に上昇した.また薬剤を用いても, α-Stimulatorで上昇が, 逆にβ-Stimulatorと女性ホルモンの併用でその上昇に抑制が認められた.この結果より, ある種の疾患の血清CPK値の上昇には, α 系の興奮が重要な役割を演じていることが判った.
    Duchenne型ではβ-stimulatorと女性ホルモンの併用で血清CPK値は著明に低下した.しかしその状態のもとでも筋力は回復しなかった.そのため今後は, CPKの漏出を筋弱力機構と結びつけて, 更に検討してゆく必要があるものと考えている.
  • 埜中 征哉
    1981 年 13 巻 3 号 p. 255-260
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    進行性筋ジストロフィーの筋病理像は筋線維の変性・壊死それに続く再生現象を反映している.筋線維の壊死の過程について, とくにDuchenne型では, 何らかの膜の異常によりCaイオンの細胞内流入, 高Caイオン存在下で活性化される特定の蛋白分解酵素 (例えばCa依存性中性プロテアーゼ) の活性化, 構造蛋白の分解, それに続く壊死が考えられている.もしこの仮説が正しいとするならば福山型先天性筋ジストロフィーにも同じ変性過程が存在すると考えられる.なぜならばDuchenne型にも福山型にも組織学的, 組織化学的所見に質的な差はなく量的な差をみるにすぎないからである.さらに顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーでは他疾患 (神経原性, 筋炎など) との鑑別の困難性を指摘した.
  • 三吉野 産治
    1981 年 13 巻 3 号 p. 261-266
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィー症 (DMD) の治療について, この疾患群の原因や発症のメカニズムに関わる原因療法と対症療法に大別し, 対症療法については, 1.現在までに使用された薬物の種類と考察を行ない, まだ充分な評価に耐え得るものはないこと.2.リハビリテーションの目的, 方法について, DMDの病状進展の過程と機能障害を把握し, 拘縮の予防, マッサージの適応, 立位保持などについて述べ, 3.肺機能の低下による呼吸不全の対策も極めで重要であり, また末期の患者ではこれがearly morning cyanosisとして見られることとその対策, 4.心筋障害と心電図の特徴, それに対する強心剤, 特にジギタリスの使用および心筋への酸素供給のための薬物療法を期待し, 5.心理的ケアとして, 短い生命予後に対する患児への包括的医療の必要性について述べた.
  • 杉本 健郎, 安原 昭博, 松村 忠樹, 原 克子, 坂根 義己, 谷内 清
    1981 年 13 巻 3 号 p. 267-268
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    抗痙攣剤であるDPA投与中のてんかん患児25例の血清アミノ酸, およびS-GOT, S-GPT, 血小板, 白血球, 血中アンモニアの計測を行なった.
    DPA投与群は対照群に比して, 有意 (P<0.001) に高グリシン血症を認めたが, GOT, GPT, 血小板, 白血球数には有意差がみられなかった.
    血清グリシン濃度は, DPA投与量とわずかに有意な相関 (P<0.05) がみられたが, 血中DPA濃度とは全く相関がみられなかった.
    血中アンモニアは, 5例に上昇を認めた.
    高グリシン血症時の髄液グリシン値は正常域であるが, 長期にわたる高グリシン血症の影響については今後の検討が必要であり, 高アンモニア血症は, 今後注目しなければならない重要な副作用と考える.
  • I補装具の目的と医師の役割
    山形 恵子
    1981 年 13 巻 3 号 p. 269-276
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 吉岡 三恵子
    1981 年 13 巻 3 号 p. 277-279
    発行日: 1981/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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