脳と発達
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組織診断
埜中 征哉
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1981 年 13 巻 3 号 p. 255-260

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抄録

進行性筋ジストロフィーの筋病理像は筋線維の変性・壊死それに続く再生現象を反映している.筋線維の壊死の過程について, とくにDuchenne型では, 何らかの膜の異常によりCaイオンの細胞内流入, 高Caイオン存在下で活性化される特定の蛋白分解酵素 (例えばCa依存性中性プロテアーゼ) の活性化, 構造蛋白の分解, それに続く壊死が考えられている.もしこの仮説が正しいとするならば福山型先天性筋ジストロフィーにも同じ変性過程が存在すると考えられる.なぜならばDuchenne型にも福山型にも組織学的, 組織化学的所見に質的な差はなく量的な差をみるにすぎないからである.さらに顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーでは他疾患 (神経原性, 筋炎など) との鑑別の困難性を指摘した.

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© 日本小児小児神経学会
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