脳と発達
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熱性痙攣の脳波
山磨 康子河野 親彦伊予田 邦昭岡 英次大田原 俊輔
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1982 年 14 巻 2 号 p. 124-130

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抄録

6歳未満に初診し, 5年以上追跡しえた熱性痙攣263例 (うち250例は脳波学的にも追跡) につき脳波学的検討を行なつた.臨床的に脳障害を示唆する所見の有無および発作の性質により単純性と複雑性に分類すると, 狭義てんかん波は初回脳波でそれぞれ34.0%, 44.6%, 全経過を通じて56.8%, 71.8%の高率に検出され, 多数の症例においててんかん性機序の存在が示唆された.一方熱性痙攣症候群の中に少数ながら狭義てんかん波を伴わぬ一群があることも事実である.追跡研究の結果無熱性発作は7.6%に出現し, 18.4%では熱性痙攣が6歳以後も残存した.全経過を通じて“no spike”群には無熱性発作の出現はなく, 熱性痙攣の6歳以後の存続も3.9%にすぎず予後良好であった.一方狭義てんかん波を伴う群ではこれらがそれぞれ10.3%, 20.7%みられた.
したがって熱性痙攣をriskfactor及び狭義てんかん波の存否により3つのカテゴリー, すなわち“simple”,“complicated”,“epileptic”に分類すべきと考える.

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© 日本小児小児神経学会
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