脳と発達
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てんかん児における完全飢餓並びにケトン食摂取時の甲状腺ホルモン動態
原 美智子
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1982 年 14 巻 2 号 p. 179-193

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抄録

生体の低エネルギー状態における甲状腺ホルモン動態を明らかにするために, 小児に, てんかんの治療目的で行なった180時間完全飢餓並びにケトン食療法期間において, 甲状腺ホルモンの測定を行なった.
飢餓初期に, 末梢性甲状腺ホルモン抑制を, 次いで血中TSH低値を伴う中枢性甲状腺機能低下を認めた. 血中T3濃度は前値の約80%の減少を示した.
ケトン食摂取後, 血中TSH, 甲状腺ホルモンの可逆的上昇が観察された.
ヒト飢餓において初めて発見したこの著明な甲状腺ホルモン抑制は, 疾患としての病的変化ではなく, 低エネルギー状態において体内エネルギーを節約し, 蛋白異化作用を防止する, 生体の合目的的反応であると考えた.
著者は, 特にこの一連の現象をstarvation hypothyroidismと名づけた.
成人の飢餓において一般的に観察されている血中T3低下, rT3上昇を伴ういわゆるlow T3 syndromeは, 本症の軽度もしくは初期の反応であると考える.

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© 日本小児小児神経学会
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