脳と発達
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ロタウイルス性胃腸炎における乳幼児無熱性けいれん
小野 厚杉本 健郎谷内 昇一郎谷内 清
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1982 年 14 巻 5 号 p. 520-521

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抄録
谷内小児病院において, ロタウイルス性胃腸炎の患児336名の中に, けいれんの既往もなく, 発育も順調でありながら, 無熱性けいれんをおこした患児12名を経験した. この12名の嘔吐, 下痢の症状は他のロタウイルス性胃腸炎の患児とかわりなく, 著明な脱水も認めなかった. けいれん発作時の血球検査成績, 電解質, 血糖に異常なく, 髄液検査も正常で, 発作間歓期の脳波では発作性異常波を全く認めていない. さらに追跡調査し得た10例は, その後は全くけいれんをおこしていない. このことは, ロタウイルス性胃腸炎では時に予後良好な無熱性けいれんをおこし得ることを示唆する成績と考えられる. なお, ロタウイルス陰性の胃腸炎患児の中にも若干, 同様の無熱性けいれんをおこした例があり, アデノウイルスとの関連も考えられる.
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© 日本小児小児神経学会
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