脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
Werdnig-Hoffmann病の中枢神経病理所見の再検討
宍倉 啓子原 正道三杉 信子亀田 陽一原口 光代三宅 捷太木村 清次佐々木 佳郎岩本 弘子三杉 和章
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 14 巻 6 号 p. 549-557

詳細
抄録
Werdnig-Hoffmam (W-H) 病の運動神経細胞以外の中枢神経系病変は, 主としてanoxiaに随伴すると考えられ, 小脳低形成, 後索及び視床等知覚系の病変, 錐体路病変等を伴う例はvariantとして報告されてきた. 我々は乳児期早期に発症した重症型のW-H病の5剖検例の中枢神経系につき検討し, さらに臨床像についても再検討した.
結果: 脊髄前角細胞, 脳神経運動核 (V, VII, X, XII) の変性, 脱落, 脊髄前根のglial bundle以外に, 視床の変性 (4/4例), 後根のglialbundle (2/5例), クラーク性の変性 (2/5例), 橋核の変性 (1/4例) がみられた. 視床病変は, lateral formation (VPL, VPM, DP) に著明であった. 臨床的には知覚障害は見出されなかった. さらに文献的展望と併せて, 本症はmulti-systemicdiseaseである可能性が示唆された. また5例中4例にdrophandがみられたが, これは末梢神経障害の一症候ではないかと考えられた.
著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top