脳と発達
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点頭てんかんからLennox症候群への変容を伴ったAicardi症候群の1例
その臨床的, 脳波学的経時的変化を中心として
三浦 義人今野 金裕藤木 伴男三島 博鈴木 仁
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1982 年 14 巻 6 号 p. 579-585

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抄録

生後5ヵ月時点頭てんかんと診断し, 6年間の経過観察後Lennox症候群へと変容したAicardi症候群の1例を経験したので, その臨床経過および経時的脳波変化を中心に検討し報告した.自験例は生後5ヵ月時に前屈型発作で発症し, 9ヵ月時に施行したACTH療法後約4年間痙攣の コントロールは良好であり, 精神運動発達も1歳1ヵ月で歩行を開始し, 1歳4ヵ月で2-3の有意語を話すなど良好であった. 脳波所見では初発時にhypsarhythmiaを示しており, 経過中一度もsupPression-burst patternは認められなかった. 発症3ヵ月以後は多焦点性棘波を認めただけで明らかな左右差もなかった. しかし4歳10ヵ月より失立発作や強直発作が頻発し始め, 6歳7ヵ月時には脳波上もslow spike & wave complexが認められるようになり, Lennox症候群へと変容した. この際一部で完全な左右非同期性を示すslowspike & wave complexやrapid rhythmの所見が認められ, これはLennox症候群を伴ったAicardi症候群の脳波所見の特徴の一つと思われた. また自験例のごとく発症が遅く精神運動発達の良好であった症例および点頭てんかんからLennox症候群への変容を示した症例は, Aicardi症候群に関する従来の報告中にはなく, この点で自験例が最初の報告と思われた.

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© 日本小児小児神経学会
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