脳と発達
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ウイルスを分離同定し得た単純ヘルペスウイルス1型脳炎の1例
岡本 真理子長尾 秀夫松田 博榊 三郎
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1984 年 16 巻 1 号 p. 54-60

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抄録
単純ヘルペス脳 炎 (HSV脳炎) の8ヵ月の女児の1例を報告した. 発熱, 痙攣, 意識障害で発症し, 脳波でperiodic sharp wave, CTで左頭頂部のhigh density area, 左側頭部のlow density areaが認められ, 造影剤注入後にはstreak linear enhancementが出現した. 臨床的にHSV脳炎を疑ったが, 同時に脳内血腫の存在も考えられたので血腫除去による減圧を目的として開頭術を施行した. 手術時に得られた脳組織からHSV1型が分離同定されHSV1型脳炎と確定診断した. 患児は重篤な症状を呈したが, 第8病日よりAdenine arabinoside (Ara A) を10日間投与し救命し得た.
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© 日本小児小児神経学会
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