脳と発達
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重篤な呼吸不全をきたしたnemaline myopathyの1例
山本 崇晴神谷 典男蜂谷 明子平田 清二大谷 勉細江 昭比古西村 豊粟屋 厚子西村 嘉郎室 博之
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1984 年 16 巻 1 号 p. 47-53

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抄録
我々は5歳の時に急激で重篤な呼吸不全, 心不全をきたしたnemaline myopathyの1例を経験した. 症例は在胎42週, 出生体重3, 4009. 両親および家系内に神経筋疾患はない. 出生時より筋緊張低下があり, 歩行開始1歳6カ月. Gowersの徴候があった. 入院3週間前より食欲が落ち, 5日前より顔色不良となり, 前日に眼瞼, 下肢に浮腫が出現. 翌朝, チアノーゼが見られ入院した. 入院時, 痩身で, 高口蓋と軽度の側彎があった. 心音は奔馬調律, 心拡大 (心胸郭比63%) あり. 心電図にて右房右室肥大があった.血液ガス分析で著明な高炭酸ガス血症と低酸素血症を認めた. CPK, GOT, GPT, 髄液, CT scan, 脳波に異常なく, 血液および髄液培養は陰性であった. 大腿四頭筋生検にてnemaline rodが存在し, タイプ1線維が優位かつ萎縮していた.入院後, 人工換気により全身状態は著明に改善し, 筋力の改善もみられる. 現在昼は独歩可能であるが夜間は人工換気が必要である.
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© 日本小児小児神経学会
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