脳と発達
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ヒト胎児期の筋発達について
腸腰筋と大腿四頭筋の組織化学的比較検討
熊谷 俊幸袴田 享原 紀美子宮崎 修次竹内 達生渡辺 一功小松 喜代
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1984 年 16 巻 2 号 p. 150-156

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抄録

20例の流産児・未熟児・成熟児の腸腰筋と大腿四頭筋の発育分化を組織化学的に比較検討し以下の結果を得た.
腸腰筋・四頭筋ともに胎齢17週までは未分化なタイプIIC線維で占められるが, 18週以後, 大型のタイプI線維が散在性に出現する.この時期からすでに腸腰筋のタイプI線維は四頭筋より若干多い.腸腰筋のタイプI線維は30週以後急速に増加し, 満期では約50%となり, 42週では60~70%に達する.四頭筋のタイプI線維は徐々に増加し, 満期で20~23%に達する.タイプII線維は, 両筋ともに約37週以後急速にタイプIIA・IIB線維が出現し, 以後IIA線維は増加を続けるが, 満期以後もタイプIIC線維は2~10%残存する.
以上の結果から, 躯幹筋である腸腰筋と, 四肢筋である大腿四頭筋では, 胎児期からその発育過程が異なることを強調した.

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© 日本小児小児神経学会
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