昭和38年から51年までに名大小児科を受診し, 6歳以降の予後の明らかとなった1歳未満発症のけいれん性疾患のうち, 機会性けいれん, 熱性けいれんを除いた284例を対象にした. そのうち0歳から3歳までの脳波記録が得られたのは, 0歳167例, 1歳102例, 2歳93例, 3歳76例であった. 0から3歳までの乳幼児期の脳波の予後推測因子としての意義について検討した.
焦点性棘波が2歳までにみられる場合は予後不良で, 発作消失率は35%に過ぎないが, 3歳で焦点性棘波を持つ場合には65%で発作が消失し, 発作波なしの群との間に差がみられなくなった.反対に0歳で発作波を有しないものの76%が正常精神運動発達を示したが, 年齢が長ずるに従ってその率は低下し, 発作波ありの群との間に差が見られなくなった. したがって年齢が0から3歳と高くなるに従って, 脳波の予後推測因子としての意義は低下するといえた.