1985 年 17 巻 2 号 p. 115-125
小児の脳と頭蓋の発達過程を, 2回以上の追跡CTを行った400例から検討した. 頭蓋の発達は2歳まで急勾配を示し, 脳の発育は1歳まで急速である. 前頭蓋内板と前頭葉間隙, 半球間裂は4~10カ月の乳児期で拡張していることが多いが, これは生理的変化と考えられる. 正常群に比し異常群では, この拡張が12カ月以上まで遷延する傾向がある.
灰白質部と白質部の識別は1カ月以内および7カ月以上で明らかである. この原因は出生時における頭蓋・脳・循環の急激な変化, 水分含量の変化, 髄鞘化, 蛋白成分の変動など, 諸要因の複合的結果と考えられる.
急性疾患と慢性疾患における発達の差異についても検討した.