脳と発達
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17 巻, 2 号
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  • 金澤 一郎
    1985 年 17 巻 2 号 p. 94-102
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    近年注目を集めている神経ペプチドの中で, 神経伝達物質であることが最も早く確定したsubstance Pの研究のあゆみを簡単に述べ, 従来哺乳動物にはsubstance Pだけであろうと考えられて来たtachykininの仲間がブタ脊髄から新しく発見された経過を述べた. この新しいtachykininを我々はneurokinin αおよびβ と命名した. neurokinin αはsubstance Pとほぼ平行して存在するが, neurokinin β はsubstance Pとはほとんど平行せず, その量的関係は大よそsubstance P>neurokinin α>neurokinin β であることがわかった. いずれも脊髄ニューロンに対する興奮作用があり, 神経伝達物質として作用している可能性が示唆されることを述べた.
  • 上田 重晴
    1985 年 17 巻 2 号 p. 103-111
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    SSPE調査会による疫学調査で, わが国ではSSPE患者は年間10数例発生しており, その発生頻度は自然麻疹罹患者では推定麻疹患者数100万対11例, 麻疹ワクチン被接種者ではワクチン販売数100万対0.7例であることが明らかになった.
    SSPEウイルスの神経毒力については, 感染細胞表面へのウイルス抗原の出現の少ないウイルスの方が毒力が強いことが実験病理学的に明らかになり, SSPE患者脳で持続感染しているウイルスは極めて神経毒力が強いことが示唆された. また, 蛋白合成阻害酵素であるジフテリア毒素フラグメントAを封入したリボソームを用いての動物実験でSSPE治療の可能性を示唆する成績が得られた.
  • 久留 裕
    1985 年 17 巻 2 号 p. 113-114
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 御供 政紀
    1985 年 17 巻 2 号 p. 115-125
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児の脳と頭蓋の発達過程を, 2回以上の追跡CTを行った400例から検討した. 頭蓋の発達は2歳まで急勾配を示し, 脳の発育は1歳まで急速である. 前頭蓋内板と前頭葉間隙, 半球間裂は4~10カ月の乳児期で拡張していることが多いが, これは生理的変化と考えられる. 正常群に比し異常群では, この拡張が12カ月以上まで遷延する傾向がある.
    灰白質部と白質部の識別は1カ月以内および7カ月以上で明らかである. この原因は出生時における頭蓋・脳・循環の急激な変化, 水分含量の変化, 髄鞘化, 蛋白成分の変動など, 諸要因の複合的結果と考えられる.
    急性疾患と慢性疾患における発達の差異についても検討した.
  • medullary venous malformationを中心に
    奥寺 利男, Yun Peng Huang, 林 隆士, 福島 武雄, 太田 辰彦, 前原 史明, 福住 明夫, 井原 清, 津波 満, 三 ...
    1985 年 17 巻 2 号 p. 126-137
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児期頭蓋内血管性病変の主要なものの一つである脳血管奇形をとり上げ, 同病変に対する最近の神経放射線学的考え方についてMedullary venous malformation (MVM) を中心に述べた. テント上MVMは脳血管造影上, その灌流路がcentral medullary v. を介して, 脳表静脈にいたる型と, longitudinal caudate v. of Schlesingerを介してsubependymal v. にいたる型に分けることができる. 興味あることは, これら灌流路の周辺静脈には低~無形成ないしは閉塞 (intrauterineないしpostnatal) が存在することである. また, MVMの中には明らかに動脈相ないし毛細血管相に異常を認め, AVMとの鑑別が問題となる症例やAVMとMVMとが共存する例があり, 両者の発生機序を考える上で, 従来の概念とは異なる新たなる脳血管造影所見の解析が必要である.
  • 松田 博史
    1985 年 17 巻 2 号 p. 138-146
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    中枢神経系の核医学診断は, その主流が脳循環代謝測定や神経伝達物質のレセプター測定などに移行しつつある. また, エミッションCT装置の開発により3次元の脳の局所の生理学的, 生化学的情報を得ることが可能となってきた. エミッションCTは, γ 線を検出するシングルフォトンCTと陽電子の消滅X線を検出するポジトロンCTに分けられる. シングルフォトンCTは, 隣接したサイクロトロンを必要とせず, 従来の核医学施設で施行可能であり普及性が高い.最近, シングルフォトンCT用の脳血流測定用剤としてN-Isopropyl-p-[123I] Iodoamphetamineが開発され, 臨床応用がなされている. 他にもシングルフォトンCT専用の薬剤の開発が望まれる.
  • 井上 佑一
    1985 年 17 巻 2 号 p. 147-155
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近開発され, 臨床使用されはじめた核磁気共鳴 (NMR) について, その理論と画像の特徴を紹介した.
    NMR画像はCT像とくらべ, 1) 脳白質と灰白質のコントラストが良好;2) 骨によるアーティファクトがなく, 後頭蓋窩, 脊髄が鮮明に描出;3) 各種病変を高感度で検出;4) 三次元画像 (軸位, 冠状・矢状画像) が容易に直接に得ることができる, という特徴を有する.
  • 超音波について
    蘆田 浩, 佐藤 豊, 堀内 勁
    1985 年 17 巻 2 号 p. 156-161
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    神経放射線領域における超音波診断法の利用についてその現状を述べる. 超音波は大泉門の開存する6カ月未満の小児特に新生児の頭蓋内病変の診断にCTとともに欠くことのできない検査法となって来ている. その基本的所見は脳実質に対してhyperechoicあるいはhypoechoicとに分類されるが, それぞれの所見を呈する病変について述べる. また新生児脳出血, 低酸素虚血性脳病変あるいは髄膜炎等の画像診断における超音波の役割について述べる.
  • 皆川 公夫, 水野 諭, 白井 宏幸, 三浦 寿男
    1985 年 17 巻 2 号 p. 162-167
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    5~24カ月の熱性けいれん患児6例に1回量0.5mg/kgのdiazepam (DZP) シロップを経口的に投与し, 投与後48時間までのDZP血中濃度の経時的推移を検索した. さらに, これよりDZPの薬物動態値を求め, これらの値を先に他の6例の乳幼児で検索したDZP坐剤直腸内投与時の薬物動態値と比較した.
    DZP血中濃度はDZPシロップ投与後5分で有効濃度域 (>150ng/ml) に達し, 約8時間有効域を維持した. 薬物動態値はCmax590.4±196.3ng/ml, tmax1.00±0.69hr, Ka2.762±2.521hr-1, t1/2β31.1±2.9hr,[AUC] 8703.0±1409.0ng/ml・hr, Cl/F0.058±0: 008l/hr/kg, Vdarea/F2.61±0.49l/kgで, これらと坐剤投与時の動態値との間に統計学的有意差を認めなかった.
  • 西田 直樹, 杉本 健郎, 禹 満, 竹内 大志, 安原 昭博, 小林 陽之助, 坂根 義己
    1985 年 17 巻 2 号 p. 168-169
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    過去3年間に経験した急性脳症6例の血清カルニチン値を測定した. 6例の総カルニチン・遊離カルニチン値は, 健康成人・急性脳炎例に比較して低値を, アシルカルニチン値は高値を示した. 6例中3例に, 急性期ジカルボン酸類の異常排泄を認め, うち1例は急性期後も低カルニチン血症が持続したため全身性カルニチン欠損症が疑われた. 以上の結果から, 急性期に急性脳症と酷似する経過をとる単純ヘルペス脳炎との鑑別に, 血清カルニチン値測定が有用であることが考えられた.
  • 第2報: 精神運動発達遅延例
    白國 隆行, 玉木 紀彦, 川口 哲郎, 松本 悟
    1985 年 17 巻 2 号 p. 170-171
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    正常小児脳のNMR画像の報告に引き続き, 精神運動発達遅延児1例におけるNMR画像所見に付き考察した. 本例では, 周産期低酸素症による大脳白質の髄鞘化遅延や, 脳萎縮を伴った白質軟化の所見が, CT画像より鮮明に得られ, 小児におけるNMR画像法の有用性が証明された.
  • 青木 信彦, 市場 尚文, 竹中 信夫, 堀 映
    1985 年 17 巻 2 号 p. 172-173
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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