1985 年 17 巻 2 号 p. 126-137
小児期頭蓋内血管性病変の主要なものの一つである脳血管奇形をとり上げ, 同病変に対する最近の神経放射線学的考え方についてMedullary venous malformation (MVM) を中心に述べた. テント上MVMは脳血管造影上, その灌流路がcentral medullary v. を介して, 脳表静脈にいたる型と, longitudinal caudate v. of Schlesingerを介してsubependymal v. にいたる型に分けることができる. 興味あることは, これら灌流路の周辺静脈には低~無形成ないしは閉塞 (intrauterineないしpostnatal) が存在することである. また, MVMの中には明らかに動脈相ないし毛細血管相に異常を認め, AVMとの鑑別が問題となる症例やAVMとMVMとが共存する例があり, 両者の発生機序を考える上で, 従来の概念とは異なる新たなる脳血管造影所見の解析が必要である.