抄録
訓練施設に通っているダウン症児125名の聴性脳幹反応 (ABR) を記録した.
(1) ダウン症児では, 6カ月~6歳で, I-V, I-II, III-IVの各interpeak latencyが短縮していた. これは, 内耳性難聴の多いためと, 蝸牛神経核, 橋部伝導路などにおける解剖学的・組織学的特徴を反映していると考えられた.
(2) ダウン症児では, I波潜時の延長, 消失に基づく判定と聴力検査の結果から, 一側耳以上の「聞こえの悪い」児の割合が, 45~65%と高く, ABRは「聞こえの悪い」児のスクリーニングに有用と考えられた.