脳と発達
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内分泌異常を伴った全前脳胞症 (holoprosencephaly) の1剖検例
堀米 ゆみ浜野 建三菅間 博新 健治滝田 齊小形 岳三郎
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1986 年 18 巻 3 号 p. 228-233

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抄録

われわれは全前脳胞症の1例を経験し, 以下の知見を得た.
1) 剖検でsemilobar typeの全前脳胞症と診断され, 下垂体欠如, 副腎皮質萎縮, 甲状腺低形成などの内分泌臓器の異常が認められた.
2) 血清中の下垂体ホルモンは, GH, TSHが著明に低下していたが, FSH, LHは正常値を示していた.
以上のように本例では, 下垂体の欠如に一致して, GH, TSHの分泌低下, 副腎皮質萎縮, 甲状腺の低形成が認められたが, FSH, LHが正常値を示していたことより, 一部の下垂体組織が異所性に存在していた可能性が考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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