脳と発達
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バルプロ酸服用患児における13C-パルミチン酸呼気テストの異常について
有本 潔桜川 宣男末広 牧子渡辺 裕之
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1986 年 18 巻 5 号 p. 354-359

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抄録
バルプロ酸 (VPA) の脂肪酸酸化抑制作用をin vivoにて検討するため, VPA服用てんかん患児8名, 非服用患児4名, 計12名 (男8名, 女4名, 9~17歳) に13C-パルミチン酸呼気検査を施行した.絶食の後 [1-13C] パルミチン酸 (10mg/kg) を経口投与し, その後1 時間毎に8時間後までの呼気を採取した.投与前に対する13CO2/12CO2の上昇率 (δ13C%。) と7 時間の13CO2の総排泄量 (%dose) を検討した.δ13C%。は両群とも2~3時間後にピークに達するが, VPA投与群ではピークは低くかつなだらかである.%dose (7時間値) は対照群では14.4±2.3%doseであるのに対して, VPA投与群では6.4±4.1%doseと有意に (P<0.01) と低下していた.以上よりVPAのin vivoにおける脂肪酸代謝障害が示唆され, 本検査法がVPAの副作用の検討に有用である事が示された.
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© 日本小児小児神経学会
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