脳と発達
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発達性失読失書症の2例
小枝 達也石井 尚吾冨田 豊大野 耕策高嶋 幸男
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1986 年 18 巻 6 号 p. 499-504

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抄録
読み書きが著明に障害され, 計算障害, 左右失認, 視空間失認はなく, 発達性失読失書症と診断した2例を報告した.神経心理学的に, 症例1は聴覚-音声回路の認知障害が考えられ, 症例2では聴覚系と視覚系のdisconnectionが考えられた.利き手と両耳分離能検査から症例1では右大脳半球優位, 症例2では左大脳半球優位が確証され, 視覚誘発電位ではおのおのの優位半球における反応波形の形成不良が認められた.以上から発達性失読失書症は左右大脳半球の機能的分業の発達障害が基礎にあることが示唆された.
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© 日本小児小児神経学会
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