1987 年 19 巻 1 号 p. 22-28
生後1カ月から7歳までのダウン症候群の小児50名に体性感覚誘発電位 (SEP) を, 45名に聴性脳幹反応 (ABR) を併せて行った.
SEPでは, N20潜時の身長換算値 (N20/Ht) と, 中枢伝導時間 (N20-N13) の値が, 対照群に比べダウン症候群で1歳以降遅延した.また環軸椎脱臼合併の2例では, 脊髄圧迫症状の有無を確認するのに有用であった.ABRでは10名にI波潜時の消失・遅延を伴う耳鼻科的異常が認められた.残り35名のI-V波間潜時は対照群より短かく, 特に2~3歳以降その差が著明となった.これらの所見より, 体性感覚路の成熟遅延および脳幹部の狭小化が推測された.