脳と発達
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満2歳未満乳児期発症の無熱性痙攣の予後
初診時明らかな発作波を呈さなかった症例について
梶山 通早川 武敏伊芸 光子楠本 純司中野 和俊宮沢 裕子篠崎 昌子三石 洋一粟屋 豊福山 幸夫
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1987 年 19 巻 1 号 p. 50-57

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抄録

歳未満 (新生児期を除く) 発症の無熱性痙攣患者中, 初回脳波でてんかん性異常波を認めなかった123例中68例を, 平均5年6カ月間に亘り, 臨床的・脳波学的に追跡した.最終観察時よりさかのぼって満2年以上発作がないものを抑制群 (53例), その期間に発作があったものを存続群 (15例), 観察期間が満4年に満たなかったものを非追跡群 (55例) とし, これら3群の臨床的特徴を比較検討した.
1) 抑制群および非追跡群は, 存続群に比し, 乳児痙攣の家族歴陽性例, 下痢を誘因とする例, 発作群発, 精神運動発達正常例, 初回脳波正常例が有意に多かった.
2) 経過観察中てんかん性脳波異常を呈したのは, 存続群5例 (33%), 抑制群4例 (17%) であり, 前者は焦点性かつ持続性, 後者は全汎性かつ一過性であった.

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© 日本小児小児神経学会
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